抄録
日本の積極的労働市場政策はまだ十分に展開されていない。これは日本の失業率が低く,失業問題が深刻には受け止められていないためである。しかし,雇用の内容はいわゆる「移行労働市場」化しており,今後失業率も上昇すると思われる。一方欧米を見ると,1980年代から低成長経済を経験しており,失業率も高い期間が長く,ワークフェアやアクティベーションといった政策が試みられてきた。それを検討すると,失業の多発に対して財政的見地から失業給付を切り下げる一方で,雇用を拡大するための訓練政策や雇用創出策が取られてきた。しかし,失業を減少させる効果は十分ではない。その一方で雇用促進策に対する人権無視との批判も強い。これを踏まえて日本の将来の政策を展望すれば,1)非能力主義的平等主義に立った自己決定重視の政策を立案・実施すること,2)学習と成長の機会の提供,3)最低ではなくディーセントな所得保障,4)労働時間の短縮が必要である。