社会政策
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日本における労働経済教育の過去と現在 : 教科書サーベイによるアプローチ(<小特集2>労働・職業教育の新地平)
伊佐 勝秀
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2015 年 7 巻 2 号 p. 43-55

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抄録

近年,経済教育や労働教育にまつわる話題が多い。これらは学問の制度化とも関連するが,そのためのツールとして大きな役割を果たすのが教科書である。しかし日本では,(労働)経済に関する教科書研究は意外に乏しい。そこで本報告では,教科書サーベイを通じて日本における労働経済教育の過去と現在,及び将来への示唆を探りたい。具体的には,まず労働経済の教科書の変遷と,その背景要因を確認する。次に,戦後日本で出版された労働経済の教科書を定量的・定性的に概観する。定量的には,教科書の頁数や章数,改訂数,出版社,出版年,執筆者の属性などを確認する。さらに教科書を3タイプ(新古典派・制度派・折衷派)に分類して,構成比の推移を見る。定性的には,主要な教科書に限定してタイトルと事項のクロス表による比較を行い,そこから観察される傾向や問題点(例えば[集団的]労使関係や法制度・政策に関する記述の減少,基礎的範躊の定義・説明の減少,マクロ経済学軽視/ミクロ経済学偏重)を指摘する。

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© 2015 社会政策学会
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