2016 年 7 巻 3 号 p. 12-26
2015年4月,改正介護保険法施行による「地域包括ケア」の推進.そして生活困窮者自立支援法,子ども・子育て支援新制度が施行された。一連の社会保障制度改革に共通するのは,基礎自治体が,地域の実情に合わせて,現物給付を通じた支援を行うこととされた点である。市区町村には,住民のニーズを踏まえた計画策定,サービスの確保,持続可能な制度運営,そして地域における様々な担い手との連携とその仕組みづくりが求められている。自治体は,国からの財源保障の縮小と公務員数削減のなかで,これを推進しなくてはならない。本稿では,独自の取組みを行う2つの自治体の事例を取り上げ,市区町村の業務運営上,求められる改革課題について考察した。利用者,事業者それぞれの声を聴き,行政が財政運営に関するイニシアチブを取ることと併せて,地域課題を共有し,協働するための体制づくりが必要である。