2016 年 8 巻 1 号 p. 127-139
1990年代以降,経済のグローバル化が一層進行し,安い労働力を求めた企業は,生産の中心をアジアなどの途上国に移した。こうした変化は,製造過程のみならず,サプライチェーンの中で発生する問題を把握することも困難にした。そうした中,グローバル枠組み協定(GFA)を締結する事例がでてきている。GFAとは,労使が一体となってILOの中核的8条約の遵守などの公約を協定という形で,広く社会に宣言し,労使共同で社会的責任を果たしていこうとする行動指針である。日本では,2007年に髙島屋,2011年にミズノ,2014年にイオンがGFAを締結している。本稿は,これら三事例の分析を通じて,その取り組みが,①1990年代以降増え続けている非正規雇用労働者も含めたものであること,②海外サプライヤーに対する監視体制強化へ向けたものであること,③国際化する労使関係への対応として,日本の協調的労使関係を海外の職場へ広めていく狙いがあることを明らかにした。