2016 年 8 巻 1 号 p. 140-152
本稿では,障害者権利条約第27条における障害をもつ労働者への「合理的配慮」を前提として,中途視覚障害者の雇用継続の障壁とその克服手段を,裁判事例を通して追究した。方法は,①中途視覚障害を理由として解雇され,地位確認等請求裁判を行った事例について,原告による証言,裁判資料をもとにした事例研究,②同様の裁判事例との比較考察を行うために,当該裁判に関する資料分析や支援の会事務局長を対象とした面接による聞き取り調査であった。その結果,現状において,⑴雇用継続のためにはリハビリテーション訓練を行うことが有効であること,⑵障害当事者団体等による運動による支援は弱体化していることが明らかになった。⑴ ⑵を克服するために,障害をもつ労働者への合理的配慮を保障する「リハビリテーション権」を法制度として障害者関連法に位置づける必要があると考えられた。