2017 年 9 巻 1 号 p. 5-11
高騰する社会保障費のための財源調達をいかに進めるかについて,わが国で激しい議論が続いている。もっとも,これまでの経過をみると,この種の論議はかなり以前から継続してなされてきたものであり,何ら目新しいものではない。しかしながら,「納得のいく」負担について国民の合意を得るのは至難であり,解決策を展望するのは極めて厳しいものがある。税,社会保険のいずれに重点を置くべきかについて,これまでの関連する学説,制度等を振り返りながら,国民にまずは「納得のいく」事実関係を提示することこそが「納得のいく」負担に繋がる第一歩ではないか。