抄録
工業化時代における企業組識モデルはツリー構造であり、またその意思決定プロセスも階層的権威構造の中で進行していた、すなわち、上級経営者は従属経営者が実行するより広い知識スパンを持つヒエラルキー組織であった。情報化時代の企業内意思決定プロセスは、WWWによる1階建のハイパーリンク構造 (ハイパラルキー構造) 上の知識交換によって遂行されることになる。ハイパラルキー構造の意思決定プロセスは、どんなモデル構造を持ち、どのような行動原理をするか、この行動結果 (ビジネス・パフォーマンス) をどのように評価するかが確立していないのが現状である。我々は未だ、情報化社会を十分に知覚し、望ましい行動原理を持ち、社会の公器として存在できるェンタプライズの参照モデルを獲得できていない。この報告は、1) ハイパーリンク上の分散化意思決定の複雑さを認識し、2) 複雑化するビジネス・プロジェクトを遂行するハイパラルキカル意思決定プロセスを実装できる、エンタプライズ・ビジネス・モデルのフレームワーク/アーキテクチャを提示し、3) バランスドスコアカード使用しプロジェクト・マネジメントを戦略的持続的に改善するダイナミック・モデリングについて述べる。