抄録
仕様学のより一層の進展へ向けて, その枠組みの構成要素の探求へ一歩進む. 人間は欲求主体として様々な重層的構造を持っている. 各人が諸々のレベルで持つ欲求は, 社会的レベルにおいては錯綜し合い様々な競合を引き起こす. 本稿ではまず, このような競合への対処の一般的図式を示す. その上で, プロジェクトの背景を究極的に決定することに参画する重要な機会である選挙を例にとり, その問題点を考えた上で, 一般的図式の具体的適用を図る. 量的な側面に的を絞り, 選挙の諸制度が多数決原理を如何に頑健に実現可能であるかを, 「民意反映における頑健さ」で明快に図り得ることを示した.