抄録
これまで, わが国における研究・開発は, 産業界がリードしてきたといっても過言ではない。従って, 企業では基礎研究, 応用研究, 開発研究の中で, 利益回収が見込み易い応用研究や開発研究が盛んに行われてきた。しかし, これまで日本企業は, 欧米における既存市場に対し, 高品質の工業製品を提供し, 企業競争力を向上させてきたが, 今後は新たな市場を創造していく必要性に迫られている。本報では, わが国の研究・開発の構造的問題点をプロジェクトの視点から, 基礎研究, 応用研究, 開発研究の一貫したマネジメントの必要性を述べる。更に, 研究・開発の成果物である技術とその移転に必要な特許流通市場の重要性についても述べる。