抄録
プロジェクトの遂行過程で発生する問題がしばしば「要件定義」もしくは「仕様の策定」の段階に起因することは一般に認識されている. 本稿では, 潜在要件の概念を提示し, 潜在要件間の競合がひとつの要因としてそのような問題を引き起こし得ることを示す. 更に, そのような問題も, かつては暗黙の了解とも思われた「明示と制限の原則」を新たな文脈のもとで適用することによって解決し得ることを示す. 方法論として, 筆者の体験から抽象した領域で論旨を展開して結論を導き, 後に別な例でイメージを提示する等を採用する.