抄録
プロジェクトマネジメントが叫ばれて久しいが,トラブルプロジェクトは後を絶たない.誰もがトラブルプロジェクトを願っているわけではなく,サクセスプロジェクトを目標としていながらもトラブルプロジェクトになる予兆を見逃し,あるいはそれに気付いても有効な手段を早い段階で打てないままトラブルは発生し,結果的に多大な工数・精神的苦痛を味わうことになる.トラブルプロジェクトはステークホルダー全員が被害者となる.トラブルに陥る原因はプロジェクト毎に異なり,詳しい状況は当事者でなければわからないことが多々あるが,本論文では多少なりとも共通項を見出し,トラブルプロジェクトを防止する為の事前対応策と,いみじくもトラブルプロジェクトとなってしまった際の,サクセスプロジェクトへの回復アプローチについて,筆者の経験を踏まえて提案するものである.今後のプロジェクトマネージメントの一助となれば幸いである.