抄録
顧客満足は,投資に対する利益によって決定される.そのため,プロジェクト活動の結果として,プロジェクトに対して投じた費用に見合っただけの利益が生成されなければならない.顧客の要望は,プロジェクト要件として具現されるが,現在のプロジェクトマネジメントには,プロジェクト要件の選定や投資対効果の管理に関する手法があまりない.ERVMは,プロジェクト要件に内在する価値を評価するための手法であり,投資対効果の管理を可能とする.まだ提案段階にあるこの手法は,今後の実践が期待されるため,プロジェクトマネジメント・ソフトウェア・ツールの提供などにより,この手法の利用者を支援することが重要である.本稿では,プロジェクト要件の価値評価方法であるERVMを紹介し,この手法のソフトウェア支援モデルについて説明する.また,そのモデルに基づいて試作したツールについても述べる.