抄録
品質レビューにより検出した欠陥には,プロジェクトや成果物の状況を表す有用な情報が含まれている.従って,検出欠陥に対してどう対処していくかが重要である.しかし,実際にはレビューを実施したことで安心してしまい,レビュー結果に対してプロジェクト全体的な観点から十分な検討がないまま場当たり的に対応し,「誤修正」という現象が発生している場合が散見される.本稿は,システム開発プロジェクトのレビュー作業とその修正時に新たな欠陥を埋め込む,いわゆる「誤修正」の問題を概観し,その原因と対策を論じる.特にプロジェクトマネジメント領域では,問題マネジメント/変更マネジメント/品質マネジメントに関わる領域のうち,欠陥除去・品質マネジメントに関わる「人的・心理的側面」を無視できない点について言及する.