抄録
本論文は「システム開発を担当するプロジェクトマネージャー(以下,PM)がプロジェクトを成功裡に導くために有効な資質とは何か」を調査・分析するものである.こうした分析を行なう背景には,育成すれば誰でもある程度一定のレベルのプロジェクトマネジメントを遂行できるという思想にもとづいたPM確保策が,一般に限界にきているという仮説がある.加えて,行動を模倣すれば誰でもハイパフォーマーと同等の成果が出せるという考え方(コンピテンシー理論)に代わり,昨今注目されている「資質」に基づく人材能力の整理が必要と考えためである.当社ではコンピテンシー基準などに基づいてPM人材を選抜しているが,本論文では,この選抜基準に「資質」という観点を加える意義についての一次調査である.具体的には,当社で成果を出し続けてきたトップPM達の資質調査に基づき,当社におけるシステム開発プロジェクトのPMが持つ資質パターンを調査結果を示す.