抄録
アプリケーション開発を典型とするシステム構築サービスと,システム運用や開発・保守サービスを総合的に提供するアウトソーシングサービスは,異なるサービス特性を持ち,プロジェクトマネジメントの視点でも多くの相違点がある.また,有期性,独自性,段階的詳細化という点で,プロジェクトの定義から外れており,適切なマネジメントのためには,プロジェクトマネジメントに加えて,プログラムマネジメントの視点を導入する必要がある.プログラムマネジメントについては,PMIやP2Mにおいても論じられITILでもV3ヘの改訂の中で,アウトソーシングサービスのマネジメントを明示的に取り扱う方針である.しかし,現実のプロジェクトへの実装と現場視点のフィードバックはまだ少ない.本論は,実務の経験を通じて取得したアウトソーシングのマネジメント計画を立案する際の考慮点を中心に,プログラムマネジメントの実装における課題を論ずるものである.