抄録
本論は,コミュニケーション・マネジメントにおいて,WBSがどのように適用されてきたかを調べようとするものである.建設プロジェクトにおけるWBSを用いたコミュニケーションを比較した結果,3つの事実を観察することができた.第一に,プロジェクト全体のコミュニケーション総数が増加しているにも拘らず,WBSの使用頻度は減少している.第二は,組織階層における垂直的コミュニケーション及びステークホルダー自身の情報処理活動でWBSを利用する.第三は,特定のステークホルダーだけがWBSを共有するようになる.WBSを介して伝達される情報の硬直性がこれらの一因であると考えられる.