抄録
昨今社員のメンタル・ケアに取り組んでいる会社がふえている.背景には企業が社員のメンタル不全やストレスが仕事の生産性に影響し,それによる経済的損失に気がついてきたからである.どのような職場環境でもストレスを抱えている社員は存在するが,組織形態とストレス・レベルの包括的な研究(1)によるとフラットで,メンバーの即戦力としてのスキルの貢献が最大に要求されるベンチャー型(プロジェクト・チームによって業務に当たる組織形態)の組織は従来型の階層型の組織に比べて社員のストレス・レベルが高いことが指摘されている.本論文では,(1)日本の企業におけるメンタル・ケアの状況,組織形態とストレスの関係(2)特にITサービス業界のプロジェクト型組織でストレスをマネジメントする機能としてPMOがどのような形でプロジェクト・マネジャーやメンバーのストレス軽減に直接的,あるいは間接的に貢献できるかを提案する.悩めるプロジェクト・マネジャーやプロジェクト・メンバーをサポートする優しい組織のあり方を考察する.
