抄録
プロジェクト計画はプロジェクトの成功に大きな影響を及ぼす.曖昧なプロジェクト計画は,後工程での仕様変更,あるいは,作業手戻りの原因となる.プロジェクト計画立案のプロセスは,顧客の要求を整理するプロセスから始まる.この要求整理プロセスでは,要求の状況が不明確,内容が不十分,そして,記述方法が不明確といった問題,さらに後工程に対して要求を論理的に展開していないといった問題がある.そこでプロジェクト計画におけるQFD応用研究会では,これまでに顧客の曖昧な要求からシステムの実現要素へと論理的に整理する方法を,QFD(Quality Function Deployment)の考え方を用い提案した.さらに本年度は,要求整理手法の適用方法の明確化とシステムの実現方法の具現化に焦点をあて,事例を通して検討を行い,必要な手法の整理を行った.具体的には,ステークホルダー間のコミュニケーションを通して要求の整理と明確化を行う方法を検討した.また,システムの実現方法の具現化としては,顧客の要求に対して複数案考えられるシステムの実現方法の比較について考察を行った.最後に,今後の課題点として要求の実現項目にシステム以外の実現方法である人的側面を検討する必要性について議論を行った.本報では,2005年度の提案を基にしたこれら2006年度の考察,議論の結果を報告する.