抄録
業務システム開発プロジェクトにおいては,必要とされる顧客側体制が確立されていること,また役割分担が明確で,かつマイルストーンに従い作業責献して頂けることが成功の鍵である.しかし現実には顧客担当者も他作業と兼任である場合が多く,ベンダ側が期待するまでの作業工数を得られない受注案件が多数存在する.このようなケースでは顧客担当者の役割と,それを取り巻く環境を上手にコントロールしながらプロジェクト管理を行なっていく必要がある.そのためには顧客体制を分析したうえで要件定義,基本設計,システム稼動検証という顧客関連フェーズでの顧客側負荷を軽減させると共に,如何に生産性を向上させるかを計画段階で充分に検討する.本稿では「弱い体制」という制約を容認したうえで,短納期開発を実現したプロジェクトの事例を報告し,顧客コントロールの有効性について検証する.