抄録
日本においてソフトウェア分野における人材が質・量ともに不足している.その問題を解決する策の一つとして,Project Based Learning(以降,PBL)型の授業がある.PBL型の授業では,産業界のソフトウェア開発プロジェクト手法を模擬して,顧客とのコンタクト,ニーズの把握,合意した要件に関するシステム開発,移行・引き継ぎを行う.そのため,学生のプロジェクトとは言え,確実に納期内にシステムを納入することが求められる.しかし,PBL型の授業でシステム開発を行う場合,全員がシステム開発の経験が無いメンバーで構築されるケースが多く,作業工数を正確に見積もることが難しい.そのため筆者は,参加するPBLにおいてユースケースポイント法(以降,UCP法)を適用し,その効果の検証を行った.見積もりの効果の実証がなされた一方,いくつかの問題点が浮上した.本稿では,PBLにおけるUCP法の効果と問題点を述べ,問題点を改善するための施策を提案する.