抄録
第5次信用組合共同バンキングシステムの更改プロジェクトにおいて,2006年からPMBOKによるPMリーダ層の育成を行い,システム開発に取り組んできた.リーダ層のプロジェクトマネジメントに対する意識とレベルは向上し,開発プロジェクトは成功したが,開発メンバ間の意識とレベルの相違や管理方法(仕組み)の不統一などの問題により,グループ間でのバラツキの発生,一部の開発メンバへの負担集中,という課題が残った.今後も開発が継続することから,当時作成した開発プロセスをベースに,CMMIを活用して,プロジェクトマネジメントの仕組みの再整備に取り組んだ.その結果,ボトムアップ的にプロジェクトマネジメントに対する開発メンバの意識が改善され,また同時に開発プロセスの「仕組み化」や「見える化」が図れた.プロジェクトマネジメントをリーダ層から組織全体に展開でき,組織のプロジェクトマネジメント能力が大幅に向上した.CMMIを利用することで,PMBOKにより個々人が習得したプロジェクトマネジメント能力を,メンバ全員が実践できる組織にレベルアップすることができた.