抄録
本研究の目的は,プロジェクト・マネジャー(以下PM)が持っている仕事に対する意識を明らかにすることである.PMは独自性のある仕事を期限までに完了させる責任を持っているので,他の専門職と同じプロ意識を持っていると考えられる.ここで,PMのプロ意識を「プロジェクトマネジメントの実践において,習得した知識・技術・ノウハウといった自己能力を,責任,尊重,公平,誠実を重んじた倫理的行動を行いつつ,可能な限り発揮すること」と定義した.先ず,プロジェクトマネジメント経験を多く積んだ10人のPMに半構造化面接を実施した.面接実施結果をKJ法により整理した結果,専門性の発揮,責任の発揮,誠実さ,公平性,尊重の仕事意識の概念が抽出された.更に,その概念から作成したアンケート票による調査により,269名からの有効回答を得た.因子分析の結果,PMのプロ意識が「誠実」「尊重」「順守」の因子構造からなることが示唆された.今後,PMの内省やPMのスキルとの関係を明らかにし,PMの成長を支援する研究を進めたい.