主催: 一般社団法人プロジェクトマネジメント学会
ITプロジェクトの予備費はプロジェクトのリスクに対応するために重要であるが,どの程度予備費を確保すればよいかに関する定量的知見は少ない.三点見積はリスクを含んだ値を見積もるための有効な手法であるが,三点見積における期待値の公式E=(o+4m+p)/6により期待値を求めるだけでは予備費の見積には不十分である.この期待値の公式は,ベータ分布で表される確率分布が前提であることが知られているが,その確率分布の応用はよく知られていない.そこで,この確率分布を算出し,モデルケースに適用したところ,予備費とプロジェクト成功確率の関係性を説明でき,予備費の見積に関して定量的な判断材料を提示できるモデルになることが導けた.本モデルは「この予備費で問題ないか」「妥当な予備費はいくらか」といった判断の一助として活用できる.