抄録
語用論の分野においては,コードモデルに代わる新しいコミュニケーションモデルとして「推論モデル」が提唱されている.「推論モデル」とは,コミュニケーションにおいて受け手のコンテクストを用いた「推論」が重要な役割を果たす,という考え方である.しかしながら,プロジェクトマネジメントの分野においては,この「推論モデル」は十分取り上げられてはいない.そこで,本稿では,この新しいコミュニケーションモデル「推論モデル」の考え方をコードモデルと対比する形で紹介する.この推論モデルの考え方をプロジェクト・マネージャーが理解することは,プロジェクトの現場におけるコミュニケーションの齟齬,いわゆる「話が通じない」事象に対する予防策のひとつとなりえるだろう.今後,プロジェクトマネジメントの,特にコミュニケーションマネジメントのエリアにおいて「推論モデル」を扱った議論が活発に行われることが期待される.