抄録
日系企業における大規模SIプロジェクトのプロジェクトマネジメントの要は,「プロジェクトを全体俯瞰し,関係者の溝を埋めること」である.プロジェクト全体俯瞰とは,「お客様の責任範囲も含めたプロジェクト全体の主要リスク/課題を見極める」ことであり,溝を埋めるとは,「ベンダ内のチーム間や,お客様とベンダ間の横断課題の洗出しと早期解決への取り組みを徹底する」ことである.プロジェクトを成功に導くためには,ベンダやチームの枠を超えたマネジメントが必要である.それらの実践方法として,横断課題管理表を用い,横断課題解決チームといった専門チームを編成し,溝を埋める対応を行う.自社の役割外の作業や決定についても,プロジェクト全体のリスクとして管理し,リスク管理表を作成しアクションを具体化する.これにより大規模プロジェクトにおいても,お客様を含めたプロジェクト作業のQCDを遵守するプロジェクトマネジメントが可能となる.