通常のプロジェクトにおいて,担当プロジェクトマネージャの関心事は,まずは自分の側のスキルレベル,経験,プロジェクト管理力といった指標となるが,実際のプロジェクトの成否は,相手側のそれら指標にも大きく左右されることが少なくない.これは,実際のプロジェクトにおいては,自プロジェクトが単独で存在,完結しているケースは稀で,相手側(例えば受託元,委託先或いは自社内の他プロジェクトチームなど)のプロジェクト,プログラムと何らかの依存関係があることが多く,そのため相手側のプロジェクト管理力などに起因して,依存しているプロジェクトに遅れ,変更が発生した場合,結果自プロジェクトも当初の目標を達成することができなくなる,といった事態が容易に発生し得るためである.このような事態はひいては,相手先も含めたプロジェクト,プログラム全体が頓挫,中止となることにもつながり,最悪将来的なビジネスチャンスも失うことにもなりかねない.そのため,なるべく早い段階で,より簡便かつ直接的に,自分側だけではなく,相手先のプロジェクトマネジメント全般のスキルレベル,プロセス体系等(これらを本稿では狭義のプロジェクトマネジメント成熟度の指標と考え,以降プロジェクトマネジメント成熟度と表現する)を把握する手法の適用により,リスク軽減を試みることとした.
抄録全体を表示