2015 年 17 巻 5 号 p. 9-14
「レガシーマイグレーションプロジェクトにおいて,どのように提供品質を確保するのか?」この問題で頭を抱えたことがあるPMは多いのではないかと思う.近年,レガシーシステムをマイグレーションするプロジェクトが多く発生しており,顧客ニーズが高いことが伺える.一方,期待される品質を確保できず,苦戦しているプロジェクトも少なくない.我々は,メインフレーム+COBOLで構築された,およそ400ksのレガシーシステムをマイグレーションするプロジェクトを実施した.この中で,筆者の一人である木原は,プロジェクトマネージャ(以下PM)として,上位マネージャの元,プロジェクトを管理した.結果として,本プロジェクトは,納期・コストを遵守し,サービス開始後にトラブルを出すことなく稼動している.これは,偶然の結果ではなく,実践してきたプロジェクトマネジメントによる必然の成果であると考えている.本論文では,本プロジェクトに対する総括の意を含め,より優れたプロジェクトマネジメントに向けた教訓を論じる.