抄録
参画行政への希求から,ソフトなアプローチによる問題解決への期待が高まっている.ソフトなアプローチとは従来のシステム開発や環境整備といった開発推進型の発想ではなく,活動の改善・見直しといった発想に立脚した合意形成システムの構築法を意味する.その形態については,実行可能性の観点から全員参画型よりも,むしろ参与型合意形成を前提としたプロジェクト・チーム方式がすます重要な役割を果たしていくと思われる.そのチームメンバーには,実際の活動面に関する十分な知識だけでなく合意形成にいたるまでの筋道(アプローチ)の観点と説明責任を備え持つコーディネータとしての能力が必要と考える.本論では,これを"アプローチコーディネータ"と称し,そのプロジェクトによる利害関係者への関与性を考慮したソフトなシステム構築法に関する試論を展開する.