抄録
リチウムイオン電池の正極材料に用いられるようになってきたLiFePO4は、Nb元素を添加することによりイオン電導率が向上する。しかし、このNb元素がLiFePO4結晶中でどのように結晶構造を安定しているのか明らかになっていない。そこでRietveld解析 [注1] により結晶構造を究明した結果、Nb5+がLi+サイトに固溶し結晶構造を安定化していることが明らかとなった。これら2元素は4配位の時、類似のイオン半径を取ることから、解析の結果は物理化学的に妥当なものであった。
[注1] Rietveld解析法: 粉末回折パターンから非線形最小二乗法を用いて格子定数と結晶構造パラメータ{原子位置、原子変位 (温度因子)、格子占有率、etc. }を精密化する手法。