室温で高イオン伝導性を示す AgI 添加カルコゲナイドガラスを対象として、ガラス化進行に伴う構造変化を高エネルギーＸ線回折実験で追跡し、また、Ｘ線異常散乱実験により、可動 Ag イオン周囲の部分構造情報の取得を試みた。ガラス化進行に伴い可動 Ag イオン周囲の不規則性が導入されるとともに Ag イオンの伝導パスが相分離的に形成されること、Ag-Ag 近距離相関が生じ可動 Ag イオンの協同運動による高い伝導性を引き起こすことが示唆された。

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　磁気トンネル接合 (MTJ) は省電力で高速動作可能なスピントロニクス素子であり、その高性能化に向けて世界規模での熾烈を極めた競争が行われている。CoFeB/MgO 接合は界面磁気異方性を有しながら高いトンネル磁気抵抗比を有するため、MTJ の最も基本的な構成の一つであると同時に、本構成を用い電界による磁気異方性変調を介した超低消費電力磁化反転が実現されている。本研究では、Ｘ線磁気円二色性 (XMCD) を用いることで、本接合の磁気異方性とその電界効果の起源を元素ごとに解明することを念頭に環境構築を行った。素子構造及び測定系の検討の結果、電界効果素子の絶縁体を窒化物とし、CoFeB/MgO 接合をその直上に作製した電界効果素子において部分蛍光収量法により、感度良く XMCD 測定が可能であることを明らかにした。

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　分子内部に八面体六核金属コアを有しフォトルミネッセンスを示す銅 (I) 六核金属錯体の高圧粉末Ｘ線構造解析を行った。加圧により Cu₆ 金属コアは分子の –3 軸方向にわずかに圧縮され、4 GPa において Cu···Cu 距離が常圧と比較して約 1% 短縮することが明らかになった。加圧による発光極大のレッドシフトは Cu···Cu 距離の短縮による HOMO の不安定化が主な要因であることを示唆した。

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　反強磁性 α-Fe₂O₃ における磁気異方性は Morin 転移前後で変化するが、その転移温度は試料形状や元素ドープに影響される。本研究では、α-Fe₂O₃ 薄膜に Ir ドープした場合のドープ量と転移温度の関係を放射光メスバウアー線源法で調べた。また、そのためにメスバウアー測定用のドップラー振動装置に装着できる小型軽量な高温チャンバーを開発した。本装置を用いて、厚さ 20 nm の α-Fe₂O₃(0001) 薄膜では Ir 量の増加とともに Morin 転移温度が上昇することを示した。

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　X-ray photoelectron diffraction of 1T-TaS₂ was obtained by using an ultrawide-angle electron energy analyzer. The experiment establishes the framework for a time-resolved soft X-ray photoelectron diffraction in picosecond regime at BL07LSU. The experimental photoelectron diffraction pattern is compared with the theoretical pattern. The framework is supported with the time-resolved hard X-ray photoelectron spectroscopy (HAXPES).

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　本研究の目的は、時間分解硬Ｘ線光電子分光法（HAXPES）を用いて、電荷密度波（CDW）を示す 1T-TaS₂ および 1T-TiSe₂ での相転移温度近傍での電荷密度相のダイナミクスを調べることであった。しかし、SPring-8 制御システムのトラブルにより、時間分解測定が不可能となった。残された時間も少なく実験を再開することは　不可能と判断し、時間分解測定は中止とした。
　代わりに、テーマを変更し、NaCr₂O₄ の静的 Cr 2p 内殻準位の HAXPES スペクトルを測定し、Ｘ線吸収分光（XAS）の研究より示唆されていた NaCr₂O₄ の混合原子価状態の存在を確認することを実施した。

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　長周期積層型（LPSO）マグネシウム合金は、濃度と構造の変調が同期しており、軽量かつ高強度・高耐熱性という性質を併せ持った新規材料である。LPSO 相の局所的な格子ひずみと構造変調の関係を調べるために、単相 18R LPSO Mg-Zn-Y 合金の圧縮下での in-situ 放射光Ｘ線回折測定を実施した。圧縮応力の増加に伴い、格子ひずみの増加が確認されるとともに、0 0 L 回折面からの回折強度の大小が入れ替わる現象が発生した。解析の結果、回折強度の変化はイットリウム原子の特徴的な変位によるものであり、弾性変形から塑性変形への移行に大きな影響を与える可能性を明らかにした。

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　REBCO 超伝導薄膜線材の人工ピンニングセンターの導入による臨界電流のひずみ効果への影響を明らかにすることを目的として、低温放射光ひずみ測定を行なった。人工ピンとして BaHfO₃ を添加および無添加の GdBCO 線材について、自作した低温引張装置を用い、線材を 77 K に冷却した状態で引張ひずみを負荷し、超伝導薄膜の線材長手方向、厚さ方向の内部ひずみ変化を２次元検出器で測定した回折スポットの移動から評価した。結果として、本実験の範囲内では人工ピン添加の有無による内部ひずみ状態に差異は確認されなかった。

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　蛍光 XAFS 法により SOFC 燃料極における発電時のニッケル (Ni) 酸化還元挙動を直接観察することが出来た。この技術により、SOFC セルの劣化機構を解明することが可能となり、高耐久セルへの設計に繋げることが可能となる。

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　放射光を利用した材料に関する分析データとして代表的な XAFS スペクトルを題材に、スペクトルデータへの機械学習の導入を検討した。本課題では、その開発に必要な Co 系物質群の実験スペクトルをまず収集し、スペクトルと着目元素の配位状態の特徴の比較を行った。主に酸素を含有する化合物について Co 原子の配位状態と実験スペクトルの特徴を比較した結果、Co-O 結合距離や CoO 多面体構造を記述子として選択することにより、機械学習によるモデル化が可能になることが分かった。実際に、正則化を活用することで、スペクトルから直接 Co-O 結合距離を推定可能なモデルが作成可能であることを示した。

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　炭素繊維強化プラスチック (CFRP) には、より耐久性に優れた高い要求性能を実現する製品設計が求められている。疲労試験を行った CFRP について、機械強度低下の原因となる樹脂内部や CF と樹脂の界面に発生する微細な空隙の発生状況について確認するため、観察条件および画像処理条件検討と併せて高解像の放射光Ｘ線 CT の撮影を行った。

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　固体高分子燃料電池のカソード触媒として高い酸素還元特性を有するパラジウムコア白金シェル触媒 (Pt/Pd/C) に対してＸ線吸収分光法を用いて Pt シェルの微細構造解析を行った。Pt/Pd/C のコア材料となる Pd/C を複数ロット評価し、Pd 表面の酸化状態に違いがないことを確認した。電位サイクル後に活性が異なる Pt/Pd/C は、Pt シェルの Pt-Pt 間距離が異なる結果が得られた。更に電位サイクルと同様の効果を Pt/Pd/C に与えるために酸化還元を繰り返す化学的な高活性化処理によって最適な Pt/Pd/C 構造を明らかにした。

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　全固体リチウムイオン電池に用いられる電極は、機械的性質の異なる固体電解質や活物質などの粒子を混合して作製されるため、良好な界面の形成には加圧処理が必要となる。本研究では、近年、加圧手段として注目されている温水間等方圧処理（WIP：Warm Isotropic Pressing）を用い、各種条件で処理された電極の構造変化を X-ray computed tomography（Ｘ線CT）で評価した。加圧による変形の指標として電極中に存在する活物質の比率を定量化し、処理圧力や処理温度が電極構造に与える影響について考察した。

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　毛髪の形状変形を伴う毛髪処理剤として汎用されているグリオキシル酸（GA）について、SPring-8 BL43IR に設置された顕微赤外分光（IR）装置を用いて、毛髪切片作製方法による毛髪内部の GA の分布の影響を検証した。切片作製には氷包埋法と樹脂包埋法を用いた。結果、GA の分布に切片作製方法による影響は見られなかった。

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An initial experiment was carried out to measure dynamics with x-ray photon correlation spectroscopy in supercooled Ga on the 1-100 ps time scale. The state-of-the-art x-ray split and delay optical system available at SACLA was used. The challenges encountered are highlighted giving a perspective for future studies.

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