抄録
タコツボ型心筋症は(Stress-induced cardiomyopathy)1990 年代にわが国で疾患概念が確立され、現在では国際的に広く認識された心病態である。我々は、本症の発症機序解明のため細胞モデルを作製し、細胞内元素動態に関する研究を進めている。今回の研究では、細胞シート回収用温度応答性細胞培養機材、SPring-8 BL37XU 常設顕微鏡、ナノビームX線蛍光分析装置の利用により、培養心筋細胞における微量元素蛍光X線イメージングを試みた。その結果、100 nm ステップでの微量元素分布分析が実施可能であった。近年、細胞培養が貢献する研究分野は発展の一途をたどっており培養細胞の解析技術の重要性は高まっている。SPring-8 蛍光X線イメージングは同時に多元素を測定できる利点があり、各種培養細胞における微量元素動態分析に有用と思われる。