SPring-8/SACLA利用研究成果集
Online ISSN : 2187-6886
Section SACLA
Tetra-n-butylammonium bromide 過冷却水溶液の構造評価
増永 啓康町田 博宣片山 哲夫西野 吉則鈴木 明大菅原 武
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2023 年 11 巻 5 号 p. 382-386

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抄録
 テトラ-n-ブチルアンモニウム ブロマイド (TBAB) 過冷却水溶液中に存在するクラスター(結晶化前に溶液中に存在する「結晶を構成する最小単位と考えられるもの」)のサイズを、その場観察によって評価することを目的とし、フェムト秒小角X線散乱による構造評価を試みた。クラスター構造をX線照射によって破壊することなくそのまま観察するために、約 5 fs の超短X線パルスを提供する SACLA のX線自由電子レーザーを使用し、破壊する前に散乱を調べる戦略を採用した。TBAB 過冷却水溶液をカプトンフィルムで保持し、温度を変えてクラスターを生成させながらX線パルスを照射した。クラスターが出現する 268.9 K において、Bragg スポットを含む散乱パターンが観測された。スポット(反射)の数は少なく、スポットから構造及びサイズを算出することは困難であった。また、バックグランドとなる溶液セルの散乱強度が、試料からの散乱強度と比べ大きく、試料のみの散乱を差分によって見積もることができなかった。今回のような溶液測定を行う場合には、溶液セルからのバックグランド散乱を限りなく低減させ、複数のショットを平均化させることなく、個別に解析することが必要であると結論した。
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