抄録
InGaN 薄膜の価電子帯上端の裾構造(Urbach energy:Eu)とインジウム(In)原子の局所構造との相関を調べるためにX線吸収微細構造(XAFS)測定を行った。直接成長が困難であるため GaN、サファイア、Si(111) 基板上に GaN 薄膜を成長させた後に InGaN 薄膜を有機金属化学堆積法で成長させた。XAFS から求めた In 原子の第2近接原子(In-In/Ga)の動径分布強度から、それぞれの基板上の GaN 薄膜の結晶性が劣化するとともに In 原子が凝集しやすかった。また、In 組成が 10% を超えたあたりから In 原子が凝集しやすいことが示された。光熱偏向分光法で求めた Eu の値が In 組成の増加とともに大きくなることから Eu が In 原子の凝集の程度を表しているのではないかと考えられる。