柔軟性に富む高熱伝導炭素材料の空隙などの微視的内部構造を評価する技術を確立するため、高熱伝導グラファイトシート(GS)を題材として、マイクロビーム小角X線散乱測定(μ-SAXS)、および結像型X線ナノ CT 測定を行い、その微視的な内部構造や空隙の状態の解析を試みた。
μ-SAXS では、log(I)-log(q) プロットの減衰関数の解析から、Porod 則に基づく-4.0 に近い減衰指数が得られ、必ずしも断定はできないが、内部構造における界面のラフネスが比較的平滑である可能性が伺われた。
一方、結像型X線ナノ CT においては、GS の扁平状空隙の構造を明確にとらえることができ、さらにその間をつなぐシート方向の熱伝導特性には欠かせないと思われる、サブ µm~µm オーダーの厚さを持つスケルトン構造も明確に観察することができた。
炭素繊維のミクロボイドの解析では、SAXS、および μ-SAXS 測定が有効であるが、グラファイトシートの内部の空隙の構造の把握については、X線 CT が有効であることが分かった。
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