抄録
高速炉・軽水炉の燃料被覆管として開発が進められている酸化物分散強化 (ODS) 鋼では、合金に添加される活性元素によって析出する酸化物粒子の種類が変化し、それが酸化物粒子のサイズや分散状態に反映され、高温強度特性を支配する。本研究では、開発材に添加される元素である Al、Ti、Zr を対象に、それぞれの元素について酸化物粒子析出初期の過程を模擬した試料を作製して、BL14B2 のX線吸収分光 (XAFS) によって化学状態と結晶構造の変化を調査した。 X線吸収端近傍構造 (XANES) スペクトルより、メカニカルアロイング後熱処理前から Y、Zr が酸化物として存在することが明らかとなったが、X線吸収微細構造 (EXAFS) の動径構造関数からは、総じて ODS 試料のピークは酸化物標準試料のピークと比べて弱く、結晶構造が乱れていると考えられる。