抄録
ナノ加工された Ge 基板上の SiGe 薄膜にはフォノンの異方性があることが推測されており、これを用いた熱電発電技術が近年注目されている。このフォノンの異方性を直接的に観測するために、X線回折吸収分光法 (DAFS) の EXAFS と同様の原子間距離に由来する振動を精密に解析し、フォノン振動と関係性のあるデバイワーラー因子を推定することを考えた。今回は BL19B2 において均一な SixGe1-x/Ge 薄膜の 400 反射面の DAFS 信号からデバイワーラー因子を導出することを目的として実験を行った。その結果、振動している 400 反射の積分強度の変化を観測することができた。さらにこの振動パターンをフーリエ変換することで最近接の Ge-Ge(Si) 結合と一致する 2.2 Å 付近のピークを確認することができたが、動径分布関数は窓関数に大きく依存するものであり、デバイワーラー因子の算出には十分な S/N が得られなかった。