抄録
ナノ加工が施された Ge 基板上の SiGe 薄膜にはフォノンの異方性があることが推測されており、これを用いた熱電発電技術が近年注目されている。このフォノンの異方性を観測するために、X線回折吸収分光法 (DAFS) の EXAFS 振動を精密に解析し、フォノン振動と関係性のあるデバイワーラー因子の推定を試みている。2019A 期に行った NaI シンチレーションカウンターを用いた実験では、その結果 DAFS の振動信号を得ることができたが、デバイワーラー因子の算出には十分な S/N 比が得られなかった。そこでダイナミックレンジの大きな PILATUS 100K 検出器を使い測定を行った。S/N 比は向上したもののデバイワーラー因子の分析にはさらなる S/N 比の向上と入射X線強度の変動(グリッジ)に耐えうる測定が求められる。