抄録
高分子材料を用いた製品において、強度特性等に重要な役割を果たす配向の評価技術は非常に重要である。板もしくはフィルム状の試料に対しては XRD と二次元検出器を用いた測定法が有用である一方で、X線が透過する厚み方向の情報が分離できない欠点があった。そこで本課題では、二次元検出器用スリットの一種であるスパイラルスリットを用いることで、厚み方向での情報分離の可能性を検証した。結果として、今回使用したスパイラルスリットの、標準的な調整後の使用では、方位角毎に焦点位置に最大 3 mm 程度のズレがあるため、厚み方向の空間分解能は 3 mm 前後に限定されることが明らかになった。今後調整法改善の可能性を検討する。