抄録
タンパク質の機能は至適な pH 環境下において最大の機能を発揮する。光合成で働く光化学系 II 蛋白質 (PSII) も、中性付近で水分解・酸素発生活性が最大となり、酸性および塩基性にシフトすると活性が低下する。振動分光法や電子スピン共鳴法を使った先行研究から、PSII の pH に依存した活性低下の要因は、電子伝達系もしくはプロトン排出系への影響と考察されていたが具体的に影響を受ける部位は水分解反応中心とされていたが具体的なメカニズムは分かっていなかった。本研究は、混合緩衝液を使って PSII 結晶を様々な pH 環境下に処置することで、pHに よって機能が抑制される構造化学的な仕組みの理解を目指す構造研究を行った。