抄録
沖縄県に生息するフイリマングース(Urva auropunctata)は鯨類と同レベルの Hg を体内に有する。本種脳では、ネコが神経毒性を発現する Hg レベルが検出されているものの、病理的変性は観察されていない。本研究はマングース脳中における Hg と Se を主とした元素分布に着目し、Hg と Se の局在とそれらの化学形態を明らかにすることを目的とした。脳中 Hg は、主に側脳室と大脳下部に分布し、それらは Se と共局在していることが明らかとなった。しかしながら、その化学形態は、HgSe ではないことが示唆された。