抄録
非鉛ハライドペロブスカイト太陽電池としては、 Sn ペロブスカイトが注目を集めているが性能は 14% を超える程度で、Pb ペロブスカイト程の性能には至っていない。今回は太陽電池の性能向上を目的として、Sn ペロブスカイトの中でも長期安定性を確認できている CsSnI3 に着目し、焼成温度違いによるフェルミ準位の変化を検討した。具体的には、2 ~ 3 段階ある焼成過程の 1 段階目の焼成温度が低温 (50℃) と高温 (120℃) の 2 種類の試料を作製し、両者の電子状態の差を比較した。その結果、 1 度目の焼成温度が低温の時の方が、膜表面側でフェルミ準位と価電子帯上端間にギャップが生まれた。この事から、ペロブスカイトの 1 度目の焼成温度により、フェルミ準位を制御できることが分かった。これは、太陽電池の高効率化の為に重要な知見となる。