SPring-8/SACLA利用研究成果集
Online ISSN : 2187-6886
Section B
非鉛 Sn ハライドペロブスカイト太陽電池のペロブスカイト層の焼成温度による欠陥とフェルミ準位への影響解析
奥村 紘子山田 周吾黒岡 和己
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 13 巻 2 号 p. 97-101

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抄録
 非鉛ハライドペロブスカイト太陽電池としては、 Sn ペロブスカイトが注目を集めているが性能は 14% を超える程度で、Pb ペロブスカイト程の性能には至っていない。今回は太陽電池の性能向上を目的として、Sn ペロブスカイトの中でも長期安定性を確認できている CsSnI3 に着目し、焼成温度違いによるフェルミ準位の変化を検討した。具体的には、2 ~ 3 段階ある焼成過程の 1 段階目の焼成温度が低温 (50℃) と高温 (120℃) の 2 種類の試料を作製し、両者の電子状態の差を比較した。その結果、 1 度目の焼成温度が低温の時の方が、膜表面側でフェルミ準位と価電子帯上端間にギャップが生まれた。この事から、ペロブスカイトの 1 度目の焼成温度により、フェルミ準位を制御できることが分かった。これは、太陽電池の高効率化の為に重要な知見となる。
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