抄録
本研究では最古のコロブス亜科(オナガザル科)の頭骨の形態学的研究を行った。対象資料はケニアで発見された約 1000 万年前のマイクロコロブスの頭蓋骨である。ほぼ全体を残すものの化石化過程で強く変形していた。CT 画像からは少なくとも拡大した上顎洞はもたないことが示された。骨とマトリックスの分離が困難であったため、外表面形状を対象としたレトロデフォーメーションを行った結果、アフリカのコロブス的特徴が認められた。しかし CT 画像で観察できる破損状況と復元結果を比較した結果、非破損部の形態が修正される傾向も認められ、この復元結果がただちに系統関係を示すかについては結論できないと考えられた。