抄録
水面上に展開されたリン脂質単分子膜にマランゴニ対流を作用させ、X線反射率法によって膜の構造変化を観測した。BL37XU に設置された溶液界面X線反射率計の入射角を 0.8° に固定して時分割測定を行ったところ、わずか数秒で反射点の周囲の散漫散乱が増加するのが観測された。散漫散乱強度を定量的に解析した結果、radiation damage によって 100 nm サイズの凝集体が形成されることがわかった。よって、時分割測定を行うためには、単位照射面積あたりの入射ビーム強度を 1/50 程度に抑えるだけでなく、X線の照射位置をずらしながら測定をする必要がある。