抄録
高結晶性 SiC/SiC は優れた耐熱性を示し、高温環境を必要とする様々な分野での応用が期待されている。本研究では、高結晶性 SiC/SiC を自製し、内部微細構造をX線マイクロ CT 装置により3次元的に観察した。事前に実施した引張試験における比例限度応力(PLS)を基準として、引張破壊挙動時のき裂発生源およびき裂の進展挙動をその場観察により調べた。PLS を超える応力条件では、マトリックス内の比較的小さな気孔から、引張方向に対して 90° 方向へき裂が発生・進展する様子と、引張方向(0° 方向)において比較的小さな気孔が成長する様子の2つの現象を観察した。マトリックス内の大きな気孔から多数のき裂が 90° 方向に発生・進展し 0° 方向の繊維束端近傍で偏向することで、繊維とマトリックス界面の剥離や摩擦の複合的影響によって最終的に破断に至るマルチプルフラクチャーである古典力学とは異なる破壊挙動であることが分かった。