抄録
廃棄物焼却施設のボイラ過熱器管に付着する灰には重金属類(Zn、Pb、Cu)が含まれており、ボイラ過熱器管の高温腐食を誘引する。本研究ではその反応機構を明らかにするため、放射光X線マイクロ・ナノビームを用いた元素マッピングおよび XAFS 測定を実施し、反応界面における重金属類の挙動を直接観察した。その結果、Zn と Cu は腐食反応界面よりも試験片側に濃縮し、Pb は反応界面よりも灰層側に濃縮していることが明らかとなった。化学形態としては、Zn はスピネル型の複合酸化物(ZnCr2O4、ZnFe2O4)を、Pb は低融点の溶融塩(ZnCl2-KCl-PbCl2)を形成していた。これらの結果は、重金属種ごとに異なる腐食促進機構を示唆しており、ボイラ過熱器管の腐食メカニズム解明に向けた重要な基盤データとなる。