抄録
反応性を向上させたフライアッシュ(焼却飛灰)を用いた低アルカリ性セメントの初期の水和物生成過程を追うことを目的として、練混ぜ直後から30時間経過後までのX線回折データの取得を行った。高分解能な回折データが得られたため、セメント中の未水和鉱物や、フライアッシュ中のムライト、さらに、水和生成物に含有されると考えられているジェナイトの存在を確認するなど、鉱物種の特定に本測定法が有効であることが示された。しかし、活性度を向上させたフライアッシュは反応性が若干向上するものの、全体として変化に乏しい結果となった。定量標準として添加した酸化亜鉛(ZnO)が凝結遅延を起こしたと考えられた。標準化のための混和材料や、試料保持装置などに改善の余地があることが分かった。