抄録
これまでに我々はSPring-8の高強度X線の利点を生かし、界面活性剤溶液浸漬後の短時間(数分~1時間)での角層のソフトケラチン構造の変化に着目し、とくに q ≈ 6 nm−1近傍に見られるプロトフィブリル由来の散乱ピークについてX線散乱法を用いた解析検討を行ってきた。しかしながら、さらに高次の構造であるミクロフィブリル構造(q ≈ 1 nm−1近傍)の観測には、X線散乱法では界面活性剤ミセルの散乱が妨害となる課題があった。そこで角層細胞内でのケラチン線維の配向を利用した積層角層シートでの2次元散乱解析により、ケラチン線維構造を評価する手法の検討を実施した。その結果、垂直・平行方向とも散乱プロファイルにミセル由来のピークは重畳しているが、ミセル由来のピークよりも垂直方向の角層構造由来のピークは十分に強く現れ、積層角層シートを利用した2次元散乱解析の有効性が確認できた。とくに今回の検討では、実験手法の確立を目標とし、2014A期と異なるビームラインを用いて検出器などの光学系の異なる条件での比較実験を実施した。