抄録
これまで、ラミネートフィルムのAl層がエンボス加工や環境変化等から受ける負荷の評価は、主として与えた負荷と対応する試料の外観状態からメカニズムを推測するに留まっていた。これはひとえに実験室X線回折装置の照射スポットが広いため試料の損傷状態を細かくマッピングすることができなかったためである。そのため代用として有限要素法を用いた部材変形のシミュレーションで評価を行ってきたが、実際のAl層の損傷状態を評価する術がなかったため、両者の整合性を評価できていなかった。今回SPring-8の放射光を利用する機会を得て、実際にエンボス成形及びヒートショック試験を実施したラミネートフィルムのAl層の応力状態を評価することができ、外観観察では捉えられないAl層の損傷状態を評価することができた。また、シミュレーション結果とも良好な相関が認められ、シミュレーションが評価ツールとして有効であることもわかった。