抄録
本研究では、天然スピネルの熱膨張率をSPring-8におけるその場粉末X線回折によって推定することを試みた。3 GPa におけるセル体積の温度依存性を見ると、300 K から 1500 K までの温度変化においてセル体積は約 11 Å3 増加している。300 K におけるセル体積を 538 Å3 とすると熱膨張率は 1.7 × 10-5 K-1 となる。この値は MgAl2O4 スピネルで報告されている値より低く、化学組成依存性の可能性が考えられる。
しかし、本研究では加圧初期段階にセル体積の不規則な変化が見られており、また、本研究で見られたセル体積の圧力依存性は、スピネルの体積弾性率から推察される体積膨張率より小さい。これは加圧中に生じたセル内部の圧力不均質に因るかもしれず、今後、推定された熱膨張率の精確度を検証する作業が必要である。