抄録
周期変形下におけるシリカ充填ゴムの内部構造変化を、時分割超小角X線散乱にて観察した。q = 0.02 - 0.03 nm−1 付近の散乱強度の時間依存性を調べたところ、変形方向と、変形に対して垂直方向で、大きな位相のずれを観測した。この結果はシリカ充填ゴムに変形を印加するとシリカの分散構造の不均一化が起こることを示唆する。シリカ用変性SBRでは、シリカのアグリゲートの基本単位の構造を表す q = 0.02 - 0.03 nm−1 付近のショルダーが、未変性SBRに比べて広角側にシフトすることがわかった。また、シリカ用変性SBRのtanδは、未変性SBR配合ゴムに比べて相対的に低い値を示すことから、シリカ充填SBRのエネルギーロスはシリカのアグリゲートの基本単位の大きさに強く依存することが示唆された。